妊娠するとホルモンや代謝の変化や大きなお腹によって、身体にはさまざまな変化が現れます。その変化によって起こる不快な症状のうち、病気や合併症が原因ではないものを『マイナートラブル』といいます。マイナートラブルは妊娠の経過によって自然に落ち着くことが多いですが、出産するまで続くものもあります。
つわり(食欲の低下・吐き気)・むくみ・足がつる・立ちくらみ・胃のつかえ感・胸やけ・頭痛・動悸・腰痛・肩こり・便秘・頻尿・妊娠線 など
つわり
妊娠が判明して間もなく(妊娠5週)のころから始まり、吐き気や嘔吐などさまざまな症状が現れます。妊娠したことによりホルモンバランスが変化し、その変化にお母さんの身体が適応しきれない状態のために起こるとされています。できるだけリラックスして過ごすようにしましょう。つわりの時の食事の基本は 『食べたいものを、食べたい時に、食べたいだけ』です。この時の食事で赤ちゃんの成長に影響が出ることはほとんどありませんのでご安心ください。
つわりが続いても何とか飲食ができていれば問題はありません。しかし、つわりが重症化して食べ物や水を受けつけないような場合は、妊娠悪阻(おそ)の可能性があります。妊娠悪阻には、胎盤の深刻な病気などが原因になっていることがあるほか、お母さんに後遺症が残ることもあるため注意が必要です。酷く症状が続く場合は医師に相談しましょう。
疲れやすい、眠気が強い
お腹の中で赤ちゃんを育てるお母さんの身体は、普通にしていても体に負荷がかかった状態です。「疲れやすい」「体がだるい」「眠い」と感じたら、無理せずに座ったり横になったりするなど、できるだけ楽な姿勢を取りましょう。職場やよく行く場所の近くに、休める場所を見つけておくと良いかもしれません。
腰や背中の痛み
お腹が大きくなってくると体重が増える上に、体を反らすような姿勢になりがちになり腰や背中に大きな負担がかかります。中腰や前かがみなど腰に負担がかかる姿勢は避けましょう。例えば、何かを持ち上げるときには前にかがむのではなく、スクワットをするように腰を落としてから持ち上げるようにしましょう。骨盤ベルトやさらしなどを使って腰をサポートするのも大切です。
むくみ
大きくなった子宮に血管が圧迫されて下半身の血流が悪くることで、足がつったりむくんだりします。同じ姿勢を長く続けることや、衣類の締め付けも血流が滞る原因となりますので、こまめに運動を取り入れたり、マタニティウェアを活用したりしましょう。お風呂のあとなどに足先から体の中心に向けてやさしくマッサージするのもおすすめです。
頻尿・尿モレ
膀胱は子宮のすぐ前にあるため、大きくなった子宮に圧迫されてトイレが近くなります。また、骨盤周りの筋肉がホルモンによってゆるむため、咳やくしゃみなどでお腹に力が入ると尿モレが起こることもあります。
こまめにトイレに行くよう心がけ、我慢しないようにしましょう。尿により陰部が不潔になりやすいので、尿モレパッドを使用したり、下着をこまめに交換し陰部を清潔に保つようにしていきましょう。
尿の出にくさ、残尿感、排尿時の痛みがある場合は感染症の可能性があり、早産につながるリスクも上がるので早めに対処しましょう。妊娠後期には破水との区別も必要になります。
便秘・痔
妊娠によって分泌が増えたホルモン(プロゲステロン)の影響で腸の動きが鈍くなることに加え、大きくなった子宮が腸を圧迫することが原因です。便意がなくとも決まった時間にトイレに行くようにするなど毎日規則正しい排便の習慣をつけましょう。適度な運動・水分摂取・食物繊維の摂取が効果的です。
3~4日以上も便通がない・お腹が張って苦しい・かたい便で排便しにくい場合などは一度医師に相談してみましょう。市販の薬などは赤ちゃんへの影響も考え安易に使用しないようにしましょう。