早産とは
妊娠22週から37週未満の間に赤ちゃんが産まれることを早産といいます。早産は妊婦さん全体の5%に起こるといわれており、その原因は感染や体質によることが多いといわれています。早産で生まれた赤ちゃんは体の発達が充分とは言えない状態のため、新生児集中治療室(NICU)で特別なサポートを行う必要があります。早く生まれた赤ちゃんほど後で重篤な障害が出現する可能性が高くなるため、早産にならないように妊娠中の定期的な健診と、早産になりやすい状況(切迫早産)の早期診断と予防がとても大切です。
切迫早産とは
早産の兆候があること、つまり早産の一歩手前の状態のことを切迫早産といいます。子宮収縮(お腹のはりや痛み)が規則的かつ頻回におこり、子宮口が開きが開いてしまうことや、前期破水などが理由でお産が起こります。
- 細菌感染
- 出産の時期ではないのに子宮頸管がゆるんで子宮口が開いてしまう病気(子宮頸管無力症)
- 子宮筋腫や子宮の奇形などの異常
- 妊娠高血圧症候群
- 胎盤が子宮口を塞いでいる状態(前置胎盤)
- 胎盤が子宮壁から剥がれてしまった状態(常位胎盤早期剥離)
- 胎児が健康ではない状態(胎児機能不全)
要注意!切迫早産のサイン
このような症状がみられたら、なるべく早く受診しましょう。
薄いピンク色のものから鮮血まで色や量も様々です。特に真っ赤な出血の場合は少量であっても受診が必要です。
横になって休んでいても張りが続く、規則的にお腹が張る、張りが痛みに変わる場合などはなるべく早めに受診しましょう。
おりものが黄色や緑がかった色になる場合や悪臭がする場合は細菌感染などが疑われます。進行すれば子宮内感染を引き起こし、早産につながることがあります。
予防のためにできること
- 感染症の予防
早産・切迫早産の30~40%は感染症が関係しています。局部を清潔に保つようにしましょう。 - トイレのあとは、前から後ろに拭く
大腸菌の感染予防のために、排便時は前から後ろに拭くことが大切です。ウォシュレットの水も前から後ろにかけるようにしましょう。 - 体を冷やさない
身体が冷えると血流が悪くなり、お腹が張りやすくなります。寒い時期はとくに防寒を徹底しましょう。お腹を冷やさないようにすると、子宮が柔らかくなり赤ちゃんの居心地もよくなります。 - お腹を触る習慣をつけよう
お腹が柔らかい状態か、冷えていないか、触って確認しましょう。妊娠後期は子宮が大きくなりお腹は張りやすくなります。張っていると感じていなくても張っている場合もあるので、「お腹が張る」という感覚を得るためにも、普段からお腹を触る習慣をつけておきましょう。 - 無理のない生活を心がけよう
なるべくストレスを溜めず、疲れた時にはしっかりと休憩をとりましょう。
切迫早産といわれたら…
切迫早産の治療の目的は、妊娠期間をできるだけ延長させて、産まれる赤ちゃんへの危険性をできる限り減らすことです。
対処法は切迫早産の重症度によって異なりますが、とにかく「安静」にすることがとても大切になります。軽症の場合は自宅安静で様子を見ますが、症状が重ければ入院が必要です。状況に応じて投薬を行います。切迫早産の診断をうけたときは、医師の指示に従い安静程度を守りましょう。
- お腹に力を入れたり圧力がかかったりしないようにしましょう。
- 重いものを持つことや長時間の移動は避けましょう。
- 家事は休息しながら行い、負担がかからない程度に留めましょう。
- 張り止めの薬や抗生剤が処方される場合もあります。
- 長期の入院管理を勧められることがあります。
- どうしても入院できない場合は自宅での厳しい安静となります。
- トイレや着替えなど、自分の身の回りのことをする以外はなるべく横になりましょう。
- 子宮収縮抑制薬などによる処置を行ないます。
- 数日以内にほぼ早産が避けられない状況を指す場合が多いです。
- 即日入院となり必要と考えられる対処を行います。
- 早産が避けられないと判断した場合、小児科医やNICU/GCUと連携をとり、生まれてくる赤ちゃんへの対処を一番に考えます。
早産はお母さんのせいではない!
どれだけ予防に努めて妊娠生活を送っていても切迫早産になることはありますし、どれだけ安静に過ごしても早産になることはあります。日頃から無理のない生活を心がけ、これから生まれてくる赤ちゃんのために健診での医師の指示には必ず従うようにしましょう。
そして、もし早産になった場合でも決してご自身を責めず、可愛い我が子の成長をゆっくり見守ってあげましょう。