出生前診断

出生前診断

妊娠経過をより良く過ごすため一助として…

出生前診断をお考えの方へ

妊娠で喜びや楽しみでいっぱいのことと思いますが、赤ちゃんが健康で産まれてきてくれるか不安を感じている方もいらっしゃるかと思います。そのようなお気持ちを少しでも軽くするための手段として出生前診断があります。その種類や方法・対象は様々で、また、診断がつくことによって悩みが増える場合もあります。出生前診断を希望される場合には、検査方法や対象疾患だけでなく、対象者、検査の合併症などを事前に把握し、検査を受けることの意味をご家族でしっかりと考えていただくことが大切です。


出生前診断の種類

出生前診断には、「形態異常」を調べる検査と「染色体異常」を調べる2種類の検査があります。染色体疾患を調べる検査にはいくつか種類があり、大きく分けて、非確定的検査(それだけでは診断がつかない検査)と、確定的検査(それだけで診断が確定する検査)があります。

形態異常

超音波検査
通常の妊婦健診で行われる超音波検査のほか、対象者には先天性心疾患の早期発見に有用な胎児心エコーを行っております。

染色体異常

新型出生前診断(NIPT)
母体血清マーカー検査
コンバインド検査

羊水検査
絨毛検査

染色体異常検査

非確定検査確定検査
検査名新型出生前診断
(NIPT)
コンバインド検査母体血清マーカー検査絨毛検査羊水検査
実施時期9~10週以降11~13週15~18週11~14週15~16週以降
検査の対象ダウン症候群
18トリソミー
13トリソミー
ダウン症候群
18トリソミー
ダウン症候群
18トリソミー
開放性神経管奇形
染色体異常全般
感度99%83%80%100%
リスク
留意点
リスクはありませんが、検査結果が「陽性」の場合は精密検査を受ける必要があります流産・死産のリスクがあります
当院での実施
2023年4月開始
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胎児心エコー

通常の妊婦健診の超音波(エコー)検査で胎児心疾患が疑われた場合や、膠原病合併妊娠などお母さんを対象に、胎児心エコーを実施することがあります。検査の目的は、妊婦健診では見つけることが難しい先天性心疾患を見つけることです。先天性心疾患を持った赤ちゃんは、軽症を含めると 100人に1人の頻度で生まれてくるといわれており、生まれる前に見つけることができれば重症化する前に治療を始めることができます。

検査方法

通常の超音波検査と同じく、お母さんのお腹にエコーをあてて赤ちゃんの心臓の状態を詳しく評価する検査法です。お母さんにも赤ちゃんにも危険はないといわれています。

検査時期

18週頃から検査可能です。対象者には医師からお声がけいたします。胎児心エコーは毎月第1水曜日に外来にて行っておりますので、対象者で検査を希望される方は予約センターにてご予約をお取りください。

検査の意義

  • 出生直後に急激に症状が悪くなることが予想されるような心疾患の場合には、小児科医師の立会いのもと計画分娩を行い、出生と同時に治療が開始することができます。
  • 胎児不整脈の場合には、お母さんに薬剤を投与することによりお腹の赤ちゃんの治療ができます。
  • 胎内で心不全をきたすような心疾患の場合には、定期的に胎児エコーを行い、適切な分娩時期を決定することができます。

新型出生前検査(NIPT) ※2023年4月開始

『非侵襲的出生前診断』や『母体血胎児染色体検査』とも呼ばれる検査です。お母さんの腕から採血した血液を分析し、赤ちゃんが染色体異常症や遺伝子異常症を持っているかどうかの可能性を調べます。赤ちゃんへのリスクはなく、判定の精度が高い検査ですが、確定検査ではありません。陽性(※染色体疾患が疑われる)診断が出た場合は、確定的検査である羊水検査を受けるか否かの選択を行う必要があります。

検査方法

お母さんの腕から採血をします。

対象者

NIPTを実施する施設は日本医学会、日本産科婦人科学会の認可が必要です。(※認可を受けていないからといってNIPTの実施が違法というわけではありません)
認可施設では、以下の条件に当てはまっている方のみが検査を受けることができます。

  • 出産時の年齢が35歳以上
  • 胎児超音波検査・母体血清マーカー検査で胎児が染色体数的異常を有する可能性があると指摘された場合
  • 染色体数的異常を有する子どもを妊娠、または出産した既往がある場合
  • 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーになる可能性がある場合

検査時期

9~10週以降から妊娠後期まで検査可能です。羊水検査・絨毛検査より早い時期に受けることができます。希望者は担当医または産婦人科スタッフまでお申し付けください。

注意点

  • 保険適応外の検査のため、費用が高額になります。
  • 染色体異常の確定診断がついたとしても、赤ちゃんへの治療法は確立されていません。現段階では合併症の予防といった対症療法のみが対策です。

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